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医薬品論文、覚え書き

最近勉強した新しい薬や薬物治療に関する論文を中心に紹介します。

2016/08/22

胃薬とは、何か。

胃は消化管の中で最も広く分厚い臓器で、胃壁からは1日に約2リットルの胃液が分泌されます。胃の役割は、胃酸と消化酵素で食べ物を溶かして十二指腸に送り込むことと一緒に入り込んだ細菌を殺菌することです。胃の調子が悪いと胃に穴があいたり、食べ物が消化できずに胃がもたれたりするので、それを改善したり予防したりするために胃薬を使います。

胃潰瘍の歴史
一昔前(1980年くらい)までは、胃潰瘍になると食事療法か、それでもだめなら胃を切除するしかありませんでした。胃酸分泌を抑制するために、迷走神経切除術や胃酸を中和する薬、防御因子増強薬などが使われましたが、十分な効果は得られませんでした。しかし、1970年代にイギリスでH2ブロッカーが開発されると胃潰瘍の治療は一変し、1982年に日本でもH2ブロッカーが発売されると潰瘍治療は手術から薬物療法へと変わり、死亡率も大幅に減少しました。さらにH2ブロッカーより作用が強く持続時間の長いプロトンポンプ阻害薬が開発され、胃潰瘍で手術することはほとんどなくなりました。ただし、胃酸を強力に抑制するので口から入った細菌が殺菌されず、市中肺炎や腸管感染症のリスクが増加するという報告もあります。また、胃のpHが高くなることで吸収されなくなる薬物(イトリゾール、イレッサ)や逆に吸収されやすくなる薬物(ジゴキシン)もあるので注意が必要です。

消化管潰瘍治療薬
牛の胃袋(ホルモン)を食べるときれいに消化してしまうのに、自分の胃袋は消化されないのは胃酸から胃を守る粘膜が胃壁から分泌され、胃壁を守っているからです。胃粘膜が減ったり、胃酸が増えたりして、そのバランスが崩れると胃が荒れたり、胃潰瘍になります。その原因は、ピロリ菌の感染や薬、嗜好品、ストレスなどがあります。

攻撃因子抑制薬(胃酸分泌を抑制する)
H2ブロッカー(ガスターなど)、プロトンポンプ阻害薬PPI(タケプロン、パリエットなど)があります。

防御因子増強薬(胃粘膜を増強保護する)
ムコスタ、セルベックスなど胃粘液分泌を促進するものなどがあります。

作用機序が違うので併用することがあるし、上乗せ効果も確認されています。
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