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医薬品論文、覚え書き

最近勉強した新しい薬や薬物治療に関する論文を中心に紹介します。

2016/09/01

抗PD-L1抗体(ティーセントリック)が承認

少し前のことだが、2016年5月にティーセントリック(アテゾリズマブ、Atezolizumab)がFDAにより承認。
免疫チェックポイント阻害薬としては世界でオプジーボ(ニボルマブ、nivolumab)、キートルーダ(ペンブロリズマブ、Pembrolizumab)に続いて3つ目。PD-L1抗体としては、世界初である。
オプジーボもキートルーダも腫瘍細胞側のリガンドのPD-1に結合する薬剤であったが、ティーセントリックは免疫細胞側のリガンドPD-L1に結合するのが違うとことである。
適応症は尿路上皮がんで、白金製剤使用後の2ndラインに使用する。

Atezolizumab in patients with locally advanced and metastatic urothelial carcinoma who have progressed following treatment with platinum-based chemotherapy: a single-arm, multicentre, phase 2 trial.


背景
白金製剤を含む化学療法による治療が失敗した後の転移性尿路上皮癌の治療選択肢は少ない。本試験において、我々は、この患者群におけるアテゾリズマブ(選択的にPD-L1に結合する改変型ヒト化モノクローナルIG1抗体)の治療を評価した。

方法
この多施設、単群、2コホート、第二相試験では、白金製剤を含む化学療法後に疾患が進行した手術不能の局所進行または転移性の転移性尿路上皮癌の患者(18才以上)がヨーロッパ、北アメリカの70の主要な大学医療センターや癌治療コミュニティから登録された。
主な選択基準は、ECOGのパフォーマンスステータスが0または1、RECISTによる測定可能病変があること、十分な血液機能、臓器機能を有すること、自己免疫疾患や活動性の感染症がないことである。すべての患者の登録前の十分なヴァイアブルな腫瘍内容部のFFPE標本(ホルマリン固定パラフィン包埋組織標本)を必須とした。患者は、アテゾリズマブの点滴(1200mg、3週毎)の治療を受けた。腫瘍に浸潤する免疫細胞(ICs)のPD-L1の発現を前向きに免疫組織化学に評価した。プライマリーエンドポイントは、RECIST v1.1に基づいて独立評価組織による客観的奏効率および免疫調整RECISTに基づいて主治医が判定とし、ITT解析を行った。層別解析手順は、αエラーを0.05として、客観的奏効率がヒストリカルコントロールの10%より有意に大きいかどうかを評価した。この試験はClinicalTrials.govに登録されている。
結果
2014年5月13日から2014年11月19日までの間に486人の患者をスクリーニングし、315人の患者が試験に登録された。その患者のうち、310人の患者がatezolizumabの治療を受けた(5人の脱落患者は後から適格性基準に抵触し、試験薬の投与は行わなかった)。PD-L1発現ステータスは、腫瘍の微小環境に浸潤するPD-L1陽性の免疫細胞のパーセンテージIC0 (<1%), IC1 (≥1% かつ<5%)、IC2/3 (≥5%)とした。主解析(データのカットオフは2015年5月5日)では、全体の奏効率はヒストリカルコントロールの10%と比較して、atezolizumabは有意にRECISTv1.1の客観的奏効率を改善が、それぞれの免疫細胞群で認められた(IC2/3: 27% [95% CI 19-37], p<0•0001; IC1/2/3: 18% [13-24], p=0•0004) 。全体では(15% [11-20], p=0•0058)であった。


長期フォローアップ(カットオフは2015年9月14日)においては、独立レビューにおいて、客観的奏効率は、IC2/3で26% (95% CI 18-36)、IC1/2/3で18% (13-24)、310人全体では
15% (11-19)であった。
フォローアップ期間の中央値の11.7ヶ月 (95% CI 11•4-12•2)では、45人の奏功患者のうち、38人(84%)が奏功を継続していた。探索的解析では、Cancer Genome Atlas (TCGA)のサブタイプと突然変異荷重は、独立してアテゾリズマブの奏功を予測することを示した。
グレード3-4の治療関連有害事象は310人中50人(16%)の患者で生じ、最も多かったので(5人、2%)であった。グレード3-4の免疫介在有害事象は310人中15人(5%)で生じ、肺臓炎、AST増加、ALT増加、皮疹、呼吸困難が最も多かった。試験中治療関連死はなかった。

結論
アテゾリズマブはこの患者群において、持続的な活性と良好な容認性があった。免疫細胞のPD-L1の発現レベルの増加は、奏効率を増加と相関していた。この報告は転移性尿路上皮癌の患者において、TCGAサブタイムと免疫チェックポイント阻害薬の奏功との関連と、このクラスの薬の奏功の突然変異荷重がバイオマーカーとして重要であることを示したはじめてのものである。

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